2025年10月17

「なんだかテレビがぼやける」「目がかすんでピントが合いづらい」――40代以降になると、こうした“見えにくさ”を感じる場面が増えてきます。多くの人は「老眼かな?」と考えますが、実は見づらさの原因は老眼だけではありません。目のピント調節力の低下以外にも、加齢とともに起こるさまざまな目の変化が背景にあることがあります。老眼との違いや見落とされやすい目の不調の種類、注意すべき症状の見極めポイントを解説します。
「老眼」は自然な変化。でもそれだけじゃない?
40代以降に多くの人が感じるのが「近くのものが見えにくくなる」という症状。これは老視(いわゆる老眼)と呼ばれる現象で、加齢に伴う目のピント調節機能の低下が原因です。
人の目は、水晶体というレンズのような組織が厚みを変えることでピントを調整しています。
しかし、年齢を重ねると水晶体の弾力が失われ、近くにピントが合いづらくなるのです。
老眼は誰にでも起こる自然な生理現象で、40代前半から徐々に始まり、50代で自覚が強くなることが多いとされています。
ただし、テレビや看板などの遠くのものが見えにくい場合や、片目だけ見え方が違う場合は、老眼以外の要因がある可能性があります。
見えにくさをすべて老眼のせいにしてしまうのは危険で、他の病気のサインを見逃すリスクもあります。
実は“別の目の病気”かも?注意すべき不調とその特徴
中高年に多くみられる目の不調の中には、進行性で放置すると危険なものもあります。
以下に代表的な目の病気と、その見分け方を紹介します。
■ 白内障
加齢とともに多くの人に発症する病気で、水晶体が白く濁って視界がかすむ、まぶしく感じるなどの症状が現れます。
テレビが“白っぽくぼやけて見える”“明暗の差が見づらい”と感じる場合、白内障の可能性があります。
■ 緑内障
視神経が徐々にダメージを受けて、視野が欠けていく病気です。初期にはほとんど自覚症状がないため、気づいたときにはかなり進行しているケースもあります。
片目だけ見えづらい、視野の一部が暗く感じる場合などは注意が必要です。
■ ドライアイ
涙の分泌量や質の低下により、目が乾いてかすむ、目の奥が重い、疲れやすいといった不快感が出る病気です。
特にスマートフォンやパソコンを長時間使用する人に増えており、40代以降の男女に多く見られます。
■ 加齢黄斑変性
ものを見る中心(黄斑部)が障害を受ける病気で、視界の中心が歪んで見える、真っすぐな線が曲がって見えるといった症状が特徴です。
放置すると目が視えなくなる可能性もあり、手遅れになる前の早急な対応が不可欠です。
このように、「見えにくい=老眼」と思い込まず、症状の出方や継続性、左右差の有無などを冷静に観察することが大切です。
“見えづらさ”は放置せず、早めの確認を
40代以降の目の変化は、老眼だけでなく病的な変化が背景にあることも少なくありません。
特に「片目だけ違和感がある」「急に視界が暗くなった」「視野が欠けたように感じる」といった症状は、早期の眼科受診が必要です。
目の健康を保つためには、以下のような対策が有効です。
- 年に1回は眼科での定期検診を受ける(特に40歳以降)
- スマートフォンやPC作業時は意識的に休憩を取る(1時間に1回、5分間遠くを見る)
- 室内照明や画面の明るさを適切に保つ
- サングラスやUVカット眼鏡で紫外線を予防する
- バランスのとれた食事や睡眠で目の回復力を高める
「なんとなく見えづらい」「しばらくすれば治るだろう」と放置せず、見え方の違和感は身体からの重要なサインとして向き合うことが、目の健康寿命を延ばすカギとなります。