2026年2月14

眼の奥にある「硝子体(しょうしたい)」という組織にアプローチする硝子体手術。かつては長期の入院が必要な手術の代表格でしたが、技術の進歩により、現在では「日帰り」で行える身近な治療へと進化しています。
今回は、患者様が抱える不安を解消し、安心して治療を受けていただけるよう、硝子体手術の仕組みから当院のこだわり、アフターケアまで分かりやすく解説します。
硝子体手術とは?
眼球の中は、ゼリー状の透明な組織「硝子体」で満たされています。この硝子体が加齢や疾患によって濁ったり、網膜(カメラのフィルムに相当する組織)を引っ張ったりすることで、視力低下や視野の欠けが引き起こされます。
硝子体手術は、この濁った硝子体を取り除き、眼の中から病気の原因を直接治療する手術です。
主な適応疾患
- 黄斑前膜(おうはんぜんまく): 網膜の中心部に膜が張り、物が歪んで見える。
- 黄斑円孔(おうはんえんこう): 網膜の中心に穴が開き、中心が見えにくくなる。
- 糖尿病網膜症: 糖尿病による出血(硝子体出血)や増殖膜が生じる。
- 網膜剥離: 網膜が剥がれ、急激に視野が欠ける。
- 硝子体出血: 眼内の血管が切れ、視界に血が混じって暗くなる。
なぜ「日帰り」で手術ができるのか?
「眼の手術なのにその日に帰れるの?」と驚かれる方も多いですが、それを可能にしたのが「小切開硝子体手術」という低侵襲な技術です。
日帰り手術のメリット
- 生活リズムを崩さない: 慣れ親しんだ自宅でリラックスして休める。
- 費用の軽減: 入院費がかからないため、経済的な負担が抑えられる。
- お仕事や家事への早期復帰: 身体への負担が少なく、回復が早い。
当院のこだわり:極細の「27ゲージ」を採用
硝子体手術の安全性と低侵襲性を高めるため、当院では「27ゲージ(27G)」という極めて細い手術器具をあえて採用しています。
27ゲージがもたらす安心感
「ゲージ」とは針の太さを表す単位で、数字が大きくなるほど細くなります。現在、硝子体手術では23G、25G、27Gが主に使われますが、27Gはその中でも最も細い部類(直径約0.4mm)に入ります。
- 傷口が極めて小さい: あまりに傷口が小さいため、ほとんどの症例で「無縫合(縫わない)」手術が可能です。
- 術後の炎症・痛みの軽減: 低侵襲であるため、術後のゴロゴロ感や充血が非常に少なく、見た目の回復も早いです。
- 合併症(感染症)のリスク低減: 傷口の塞がりが早いため、術後の細菌感染(眼内炎)のリスクを最小限に抑えることができます。
当院では、患者様の「術後のQOL(生活の質)」を第一に考え、この精密な27Gシステムを駆使した丁寧な執刀を心がけています。
万全のバックアップ体制:大学病院との連携
日帰り手術は非常に優れた選択肢ですが、医学的に「入院治療が望ましい」と判断される特殊なケースも存在します。
- 重度の増殖糖尿病網膜症など、極めて複雑な手技を要する場合
- 全身状態(心疾患や重度の高血圧など)により、全身管理下での手術が必要な場合
- ご高齢で、術後の安静保持や点眼管理がご自身やご家族で困難な場合
当院では、患者様の安全を最優先に考えています。検査の結果、当院での日帰り手術が難しいと判断された重症例については、速やかに大学病院等の高度医療機関へ連携・紹介できる体制を整えています。
「自分の症状は日帰りで大丈夫だろうか?」と一人で悩まず、まずは精密検査を受けていただくことが大切です。
手術の流れと術後の過ごし方
手術当日
- 点眼麻酔・局所麻酔: 痛みはほとんど感じません。
- 手術: 症例によりますが、多くは1時間程度で終了します。
- ご帰宅: 少しお休みいただいた後、その日のうちにご帰宅いただけます。
術後の注意点(重要)
硝子体手術で最も大切なのが、術後の管理です。
- 点眼の徹底: 感染を防ぐため、指示通りに目薬をさしてください。
- うつ伏せ姿勢: 網膜剥離や黄斑円孔などの場合、眼の中にガスを注入することがあります。その際は数日間、特定の姿勢(うつ伏せなど)を保っていただく必要があります。
結びに
硝子体手術は、かつての「難手術」から、より安全で負担の少ない「日帰り手術」へと大きく様変わりしました。当院では最新の27ゲージシステムを用い、患者様の眼への負担を最小限に抑える治療を提供しています。
「視界が歪む」「急に視力が落ちた」といった症状は、網膜からのSOSかもしれません。早期発見・早期治療が、大切な視力を守る最大の鍵です。
まずは一度、当院で詳しい検査を受けてみませんか? 現在のお悩みについて丁寧にお伺いし、最適な治療プランをご提案させていただきます。