一般眼科
一般眼科
眼科は、目と目の周囲に関する病気を全般的にみる診療科で、乳幼児からご高齢の方まで幅広く診療します。目から入ってくる情報は体の五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)の中で約90%を占めています。情報の視覚化が進む現代では、“ものを見る”ことは、日常生活においてきわめて重要です。
一方、パソコンやスマートフォンの急速な普及に伴い、目に対するストレスも非常に大きくなっています。子どもの近視は増加傾向にあり、大人も目の酷使によって眼精疲労や不調を訴える方が増えています。
また、高齢化社会において、より高い生活の質(QOL)を維持するためにも目の健康は重要です。白内障は視力を取り戻す手術が一般的に行われており、緑内障や糖尿病網膜症は、早期発見・治療によって進行を遅らせ、失明を防ぐことができるようになってきました。
そのため、これからの時代では予防的な定期検査にて早期発見・早期治療することで「目の健康寿命を延ばすこと」が重要と言えます。
症状は目の乾きだけでなく、目がかすむ、まぶしい、疲れる、痛い、ゴロゴロする、赤い、涙が出る、目やにが出るなど様々です。危険因子としては、加齢による涙の量や性質の低下、長時間画面を見る、生活環境(低湿度、エアコン下、送風)、コンタクトレンズ装用、喫煙などがあります。
また、涙腺が免疫の作用で傷ついてしまうシェーグレン症候群や、関節リウマチなどの膠原病なども危険因子となることがあります。治療は、涙の不足成分を補ったり、目の炎症を抑えたりする目薬や、涙点に栓(涙点プラグ)をして涙をためる治療などで改善を目指します。
眼を使う作業を続けることで、目の痛み、かすみ目、充血などの症状や、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状が現れ、十分な休息や睡眠をとっても回復しない状態を指します。緑内障や白内障、ドライアイなどでも出現することがありますが、最近はパソコンやスマートフォンなどを使用する機会が増えているため、これが原因となる眼精疲労が増えています。例えるなら「目の筋肉痛」が起きている状態と言えます。
治療は、原因が特定できればそれを排除することが必要です。眼鏡が合わない場合は作り直し、目の病気が発見されれば治療します。パソコン、スマートフォンを使用することが多い場合、適度な休息を挟みましょう。目の筋肉の緊張を取るために、ホットアイマスクなどで目を温めることも有用です。点眼薬や内服薬が有効なこともあります。
目は光学的なパーツで構成されています。前方にある角膜と水晶体はレンズの役割を果たし、後方にある光を感知する神経の膜(網膜)に焦点を合わせることで、ものが見えます。この焦点が網膜の前方にずれた目を近視眼といい、後方にずれた目を遠視眼と呼びます。
近視眼は遠くを見るときは像がぼけて見え、近くを見るときは眼鏡なしでもはっきり見ることができます。遺伝や長時間の近方作業(読書、勉強、ゲーム)などが原因として挙げられます。遠視眼は、遠くのものも、近くのものもはっきりと見ることができません。
近視と同様、遺伝的な要因が関係していると考えられています。乱視の主な原因は角膜や水晶体の歪みです。焦点が1箇所に集まらなくなり、ものがぼけて見えます。屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが多いですが、近年は様々な屈折矯正手術も行われています。
目の前の像は、角膜、水晶体、硝子体を通り、網膜にピントが合った後、その情報が視神経を通って脳に伝わります。弱視はこの情報が伝わる経路に支障があるときに生じます。症状がないこともあれば、目を細めて見る、片方の眼を覆う、左右の目が同じ方向を見ていないなどの症状がみられることもあります。
子どもの視機能は、8-9歳ごろまでに成人同様の機能を持つまでに成長し、この期間を「感受性期間」と呼びます。弱視は、感受性期間に何らかの原因により視機能の発達が止まったり、遅れたりすることによります。
子どもは、視機能が発達している段階のため本人の自覚が難しく、ご家族も発見することが困難です。しかし、感受性期間に原因を取り除く治療によって、視機能の発達を促進し、良好な視力を獲得することが可能です。
新聞など手元の文字が見にくい、ぼやけるといった自覚症状がある場合、最も頻度が高いのが老視(老眼)です。40歳前後から自覚することが多く、眼の調節機能が低下して近くのものにピントが合わなくなります。治療は眼鏡やコンタクトレンズで矯正します。
若い年代の方でも、スマートフォンやタブレットなどを長時間見続けることで、仮性近視という老視のような症状が起こることがあります。
眼輪筋に何らかの異常が起こり、自分の意思と関係なくまばたきの制御に異常をきたす状態を眼瞼けいれんといいます。目の周辺の不快、痛み、まぶしい、目が乾く、ゴロゴロするなどの症状も現れることがあります。
多くの場合、原因が不明です。安定剤、睡眠導入薬、抗精神病薬の服用や化学物質への曝露が原因となっている場合は、できる限りこれらの要因を除くことが大切です。
状態によってはボトックス注射の適応になることもあります。
原因は細菌感染です。まぶたには涙や汗の分泌腺や毛穴がありますが、その小さな孔から細菌が感染して症状を引き起こします。部位によって外麦粒腫と内麦粒腫に分けられます。症状は、まぶたの一部が赤く腫れ、軽度の痛みやかゆみを伴います。
炎症が強くなると、赤み、腫れ、痛みも強くなります。化膿が進行すると、腫れた部分が破れ膿が出ますが、この膿が出てしまえば症状は回復に向かいます。治療は抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んだ場合、切開し膿を除去することもあります。
目に起きる様々なアレルギー疾患の総称です。花粉やハウスダストなどアレルギーの原因があり、結膜の炎症とかゆみ、目の異物感(ゴロゴロする)、目やに、涙が出るなど自覚症状がある場合に診断されます。花粉の飛ぶ季節に限定して症状がおこるものを季節性アレルギー性結膜炎といい、その代表がスギ花粉です。
季節により花粉の種類は異なり、春ではスギやヒノキ、初夏ではカモガヤやオオアワガエリ、秋ではブタクサやヨモギが代表的です。また、鼻炎症状が合併する方も多くみられます。通年性アレルギー性結膜炎は季節や気候の変化によって、良くなったり悪くなったりします。
ダニやハウスダストが原因であることが多く、1年を通じて自覚症状があるものをいいます。アトピー性角結膜炎は、アトピー性皮膚炎により顔面やまぶたに皮膚症状があり、結膜炎は通年性で、慢性的なかゆみや目やにが伴います。
アレルギー以外にも細菌やウイルスなど、感染が原因の感染性結膜炎やドライアイなどによっても目のかゆみを生じることがあります。治療は点眼や内服、点鼻薬の併用などがあります。
蚊や糸くずのようなものが浮遊して見える症状のことで、原因には治療を必要としない加齢性の変化や早急な治療を要する重大な疾患までいくつかの可能性が考えられます。見え方からは原因を特定することはできませんので、飛蚊症が生じたらまずは早めに眼科での精査をお勧めします。
目のレンズの役割を持つ水晶体が濁る病気です。水晶体が加齢などによって濁り始めると、水晶体で光が散乱するため、かすんだり、ものが二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が現れます。進行すると視力が低下し、眼鏡でも矯正ができなくなります。
すぐに失明するような緊急を要する疾患ではないものの、一度濁った水晶体は元に戻すことができません。進行した白内障に対しては、濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的に行われます。
緑内障は中高年以降に多く発症する疾患で、見えない場所(暗点)の出現や見える範囲(視野)が狭くなるという症状が最も一般的です。病気の進行は緩やかで、初期に視野障害があっても自覚しないことがほとんどで、他の病気で眼科を受診された際に偶然見つかることが少なくありません。
原因は明らかではありませんが、眼圧や視神経の血流、視神経自体の脆弱さが発症に関わっていると考えられています。緑内障によって一度障害された視神経は、復活させることができないため、進行させないことが治療の目的になります。
現状、眼圧を下げる治療法が最も有効とされています。緑内障は代表的な失明原因の一つです。40歳を過ぎたら一度は眼科を受診して緑内障の有無を調べましょう。
糖尿病の3大合併症の一つであり、日本の失明原因の上位を占めています。網膜とは眼底にある薄い神経の膜であり、ものを見るために重要な役割を果たしています。糖尿病で血糖値が高い状態が長く続くと、網膜の細小血管は徐々に損傷を受け、つまったり変形したりして障害を受けます。
糖尿病網膜症はかなり進行するまで自覚症状がないという特徴がありますが、糖尿病治療と定期的な眼科の通院で発症や進行を抑制できるといわれています。
しかし、治療をせずに放置が続けば、失明する可能性もあります。糖尿病そのものを含め、早期発見・早期治療がとても重要です。
網膜剥離は網膜が何らかの原因により眼球壁側から剥離した状態をいい、裂孔原性網膜剥離は網膜剥離のなかで最も多くみられます。網膜に孔が空き、目の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで生じ、剥離が進行するとすべての網膜が剥がれてしまいます。
網膜に孔が空く原因としては、老化や網膜の萎縮、外傷などがあります。前駆症状としては飛蚊症や光視症を自覚することがありますが、無症状のこともあります。病状が進んでくると視野欠損や視力低下が起きるようになります。治療せず放っておくと失明するため、早期発見・早期治療がとても重要になります。治療としては硝子体手術やレーザー治療などがあります。
症状を自覚した場合は可能な限り早めに眼科受診をお勧めします。
網膜の中心にある直径1.5~2ミリ程度の黄斑部が障害される病気です。症状としては視力低下、変視症(中心部がゆがんで見えるが、周辺部は正しく見える)、中心暗点(真ん中が見えなくなる)、色覚異常(色が分からなくなる)などがあります。
欧米では成人の失明原因の第1位でめずらしくない病気であり、日本でも失明原因の第4位となっています。高齢になるほど多くみられる疾患です。
治療は硝子体注射やレーザー治療などあります。早期発見・早期治療にて視力予後が変わる可能性があります。50歳を過ぎたら一度は眼科を受診して加齢黄斑変性の有無を調べましょう。
VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群は、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ画面を長時間利用することで引き起こされる症状の集合体です。最近では、“IT眼症(がんしょう)”としても知られています。
長時間の連続使用により、眼、身体、心にさまざまな症状が現れる可能性があります。この症候群は、近視や角膜炎、結膜炎などの眼疾患を引き起こす可能性もあります。
頭痛、額の圧迫感、めまい、吐き気、ひどい肩こりなど、目以外の症状も現れることがよくあります。
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